バスケットボールには「フリースロー」というルールがあります。
ディフェンスに邪魔されることなくシュートを打つことができる唯一のシチュエーションですね。
JBAの競技規則では以下のように定義づけられています。
フリースローは、フリースローラインの後ろ、かつ半円の中から妨げられることなく1点を得ることができるように、プレーヤーに与えられる機会のことをいう。
2022競技規則・公式解説より引用
これだけだと簡単そうに見えますが、実は多くのルールが定められたフリースロー。
本記事では、フリースローに関わるルール、大人とミニバスの違いについて解説していきます。
フリースローは1点
最大の特徴と言ってもいいでしょう。
フリースローは1本決めたら1点です。
フリースローが与えられるシチュエーション
「フリースロー」はファウルに対する罰則です。
フリースローが与えらえる具体的なシチュエーションは、以下の通りです。
- シュート動作中に起こったパーソナルファウル
- テクニカルファウル
- アンスポーツマンライクファウル
- ディスクォリファイングファウル
- チームファウルが5つ目以上の時
つまり、特定のシチュエーションで起きたファウルに対する罰則が「フリースロー」になります。
敵に邪魔されないという意味では、サッカーのPKに近いかもしれません。
PKは特定のエリア内(ペナルティエリア)で起こったファウルに対する罰則ですが、バスケットボールでは「エリア」ではなく、ファウルの「種類」によってフリースローか否かが決まります。
フリースローは誰が打つの?
フリースローは基本的にはファウルを受けたプレーヤーが打つことになります。
例外として、「テクニカルファウル」や「体の触れ合いが伴わないディスクォリファイングファウル」の場合は、ヘッドコーチが指定したプレーヤーがシュートを打ちます。
フリースローは何本打つの?
フリースローの本数はファウルのタイミングや種類によって変わります。
パーソナルファウル
アンスポーツマンライクファウル
ディスクォリファイングファウル
基本的にはアンスポーツマンライクファウルと同じです。
「体の触れ合いが伴わない」場合、コーチに指定されたシューターが2本打つことになります。
テクニカルファウル
相手チームに1本のフリースローが与えられます。
フリースローの距離
フリースローの距離は、一般ルールとミニバスでは異なります。
一般ルール
一般ルールでは以下の通り規定されています。
- 「フリースローライン〜バックボード」の距離は『4.6m』
- 「フリースローライン〜リングの中心」の距離は『4.225m』
ミニバス
ミニバスでは「フリースローライン〜バックボード」の距離は『4.0m』です。
一般ルールに比べると60cm短く規定されています。
ペイントエリアが長方形・台形の2種類ありますが、フリースローの距離は変わりありません。
フリースロー時のプレーヤーの位置
フリースローを打つ時は、各プレーヤーの位置が決められています。
リバウンドの位置に入るプレーヤーは、一般ルールもミニバスも同じです。
- リバウンドの位置には、片サイドに2人、逆サイドに3人が並ぶ
- リングに近い位置からディフェンスチーム、オフェンスチームが交互に並ぶ
競技規則では以下のように定められています。
リバウンドの位置にいるプレーヤーは奥行1mのそれぞれのスペースに位置する権利を有する。
2022競技規則・公式解説より引用
かたやリバウンドの位置に入らないプレーヤーに関しては、一般ルールとミニバスルールでは異なります。
理由はミニバスには「スリーポイントラインが無いから」です。
それでは具体的に説明します。
一般ルール
競技規則には以下のように記載されています。
フリースローのときにリバウンドの位置を占めないプレーヤーは、フリースローが終わるまでフリースローラインの延長線上より後ろでスリーポイントラインより外側にいなければならない。
2022競技規則・公式解説より引用
簡単に説明すると
- フリースローラインの延長線上より後ろ
- スリーポイントラインより外側
ということになります。
わかりにくいので図にしてみましょう。
ミニバス
競技規則には以下のように記載されています。
フリースローのときにリバウンドの位置を占めないプレーヤーは、フリースローが終わるまでフリースローレーンより後方(フリースローラインの延長上から1.80m以上後方)にいなければならない。
43-2-5 2021 バスケットボール競技規則 ミニバスケットボールにおける適用規則の相違点
シューターとリバウンドの位置に入るプレーヤー以外は、フリースローラインよりも1.8m以上後方にいなければいけません。
図にすると、以下のようになります。
スラムダンク(湘北vs山王)で例えると
「よくわからないよ」という方もまだいると思うので、スラムダンク(湘北VS山王)で例えてみます。
シューターは湘北の三井(赤14)という設定です。
湘北がオフェンスなので、リングに最も近い位置には山王の河田兄(青7)と野辺(青5)。
その隣に湘北の赤木(赤4)、桜木(赤10)。
赤木の隣(最もシューターに近い位置)には、山王の沢北(青9)。
そして後方には、山王の松本(青6)と深津(青4)、湘北の宮城(赤7)と流川(赤11)が位置します。
ポジションによる役割の違い
誰がどのポジションに入るかは決まっていません。
チームの戦術次第です。
一般的には、もしシュートが落ちた場合にディフェンス側は絶対リバウンドを確保したいので、リングに最も近い位置にはリバウンドの強いプレーヤーが入ることが多いです。
この図では、山王のインサイド陣2人が最もリングに近いポジション、その隣には湘北のインサイド陣2人が入っていますね。
リングから最も遠い位置にいる沢北(青9)の大切な役割は、シューターをスクリーンアウトしてリバウンドに絡ませないことです。
「アンスポーツマンライクファウル」や「ディスクォリファイングファウル」の場合
「アンスポーツマンライクファウル」や「ディスクォリファイングファウル」の場合は、フリースロー後にファウルを受けたチームのスローインで再開するためリバウンドには入りません。
一般ルール
あとにフリースローの「セット」が続く場合、あるいはフリースローの後スローインで再開することが決められている場合は、フリースローシューター以外のプレーヤーは、フリースローが終わるまでフリースローラインの延長線上より後ろでスリーポイントラインより外側にいなければならない。
2022競技規則・公式解説より引用
ミニバス
あとにフリースローの「セット」が続く場合、あるいはフリースローの後スローインで再開することが決められている場合は、フリースローシューター以外のプレーヤーは、フリースローレーンより後方 (フリースローラインの延長上から1.80m以上後方)にいなければならない。
長方形の場合
台形の場合
シューターによるフリースローバイオレーション
フリースローには様々なルールが定められています。
それに違反した場合は「フリースローバイオレーション」となり、罰則が与えられます。
まずはフリースローシューターによるバイオレーションについて解説します。
フリースローに与えられた時間
審判からボールを受け取ってから5秒以内にシュートを打たなければいけません。
5秒を超えるとバイオレーションです。
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シュートを打ったらすぐに動き出していい?
ボールがリングに入るか当たるまでは、シューターはフリースローラインを踏んだりペイントエリア内に入ったりしてはいけません。
例えシュートが入ったとしても無効になります。
シュートフェイントはOK?
ボールを打つふりをして途中でやめてはいけません。
フリースローがエアボールになったら?
最後のフリースロー(ツースローなら2投目、ワンスローなら1投目)がエアボールになったら、リバウンドは無しです。相手チームのボールとなり、フリースローラインの延長線上からのスローインで再開となります。
シューターバイオレーションに対する罰則
相手チームのボールとなり、フリースローライン延長線上からのスローインで再開されます。
アンスポなどフリースロー後に相手ボールになる場合は除きます。
シューター以外のプレーヤーによるフリースローバイオレーション
リバウンドに位置する(ペイントエリアの外側に位置する)プレーヤーによるバイオレーションについて解説します。
シューター以外はどこにいてもいい?
シューター以外のプレーヤーも、認められた位置にいなければいけません。
シュートを打ったらすぐにリバウンドに入っていい?
シュートが手からボールが離れる前にペイントエリアやニュートラルゾーンに入ってはいけません。
シューターの手からボールが離れた瞬間に動き始めましょう。
ボールが離れる前にリバウンドの位置を離れるのもアウトです。
シューターに喋りかけてもいい?
何らかの言動によってフリースローシューターの邪魔をする
2022競技規則・公式解説より引用
と規定されています。
喋りかけたりジェスチャーで邪魔をしたりするとバイオレーションです。
バイオレーションに対する罰則
シューター以外がバイオレーションを犯した場合、シュートの成否によって対応が変わります。
フリースローが成功した場合
得点は認められバイオレーションはなかったものになります。
フリースローが失敗した場合
相手チームのボールとなり、フリースローライン延長線上からのスローインで再開されます。
やり直しのフリースローが1本与えられます。
ジャンプボールシチュエーションになります。
フリースローのルーティーン
お堅いルールの話ばかりだったので、最後に技術的な話を。
バスケットボールは常に動きながら行うスポーツなので「オープンスキル」という外的要因に対応できるスキルが重要になります。
しかしフリースローは静止した状態で誰からも邪魔されることなく行うので「クローズドスキル」という外的要因に影響されないスキルが重要です。
そのため多くの一流プレーヤーがルーティーンを大切にしています。
ルーティーンとは「決まった手順」「決まった所作」のことです。
よくあるルーティンの一例です。
- ドリブルの回数
- ボールを回転させる
- 肩を回す
- 深呼吸する
変わりどころでは「投げキッスをする」というスーパースター(ジェイソン・キッド)もいました。
動画を貼っておくのでぜひご参考ください。
まとめ
本記事では「フリースローに関するルール」について解説しました。
- フリースローが与えられるシチュエーション
- ミニバスと一般ルールの距離の違い
- プレーヤーの位置
- フリースローバイオレーション
フリースローは、勝敗を左右するとても大切なシチュエーションです。
しっかりとルールを理解して臨むようにしましょう。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。