「ファウル(foul)」
野球やサッカーなど、他のスポーツでもよく聞く単語ですね。
では、バスケットボールでの「ファウル」はどんなことを指すのでしょうか?
今回の記事では、「ファウル」の種類や、ミニバスケットボールと一般のルール(大人のルール)との違いについて解説したいと思います。
できるだけわかりやすくするため、漫画「スラムダンク」でのファウルも例に挙げています。
ぜひ最後までご覧くださいね。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 小学生が行うバスケットボールを「ミニバスケットボール(通称:ミニバス)」といいます。 同じバスケットボールと[…]
バスケの反則は「ファウル」と「バイオレーション」の2種類
バスケの「ルール違反」「反則」には2種類あります。
一つが「バイオレーション」
もう一つが「ファウル」です。
バイオレーションとは
「バイオレーションとは、「ファウル」以外のルール違反のことです。
バイオレーションについては以下の記事で解説していますのでご参照ください。
バスケットボールの反則には2つの種類があります。 バイオレーション ファウル 「ファウル」は、他のスポーツでも聞き慣れた言葉ですが、「バイオレーション」はあまり聞き慣れない言葉だと思います。 この二つにはどんな違[…]
ファウルとは
では、バスケにおける「ファウル」とはどのようなことを指すのでしょうか。
バスケのファウルは以下のように定義づけされています。
ファウルとは、規則に対する違反のうち、相手チームとの不当な体の触れ合いおよびスポーツマンらしくない行為をいう。
ファウルは大きく2つに分類されます。
- 相手チームとの不当な身体の触れ合い
- スポーツマンらしくない行為
それではまず「①相手のとの不当な身体の触れ合い」についてみていきましょう。
不当な体の触れ合いによって起こるファウル
不当な触れ合い(身体の接触)によって起こるファウルは以下の2種類です。
- パーソナルファウル
- アンスポーツマンライクファウル
ファウルの3原則
パーソナルファウルとアンスポーツマンライクファウルは、以下の3原則によって成立します。
- コンタクトの事実:コンタクトが起こっている
- コンタクトの責任:どちらかのプレーヤーにそのコンタクトの責任がある
- コンタクトの影響:コンタクトを受けたプレーヤーのプレーに影響を及ぼしている
この3原則に着目し、ファウルを宣するかどうかが判定されます。
パーソナルファウルの種類
ファウルと言われて、多くの方が一般的に思い浮かべるのが「パーソナルファウル」でしょう。
パーソナルファウルとは、様々なファウルの総称です。
そして、大きく分類するとディフェンスプレーヤーによるファウルとオフェンスプレーヤーによるファウルがあります。
ホールディング
ディフェンスプレーヤーが、オフェンスプレーヤーを「押さえる」「つかむ」「かかえる」
ブロッキング
ディフェンスプレーヤーが、体や腕、足でオフェンスプレーヤーに「ぶつけて進路を妨害をする」
プッシング
ディフェンスプレーヤーが、オフェンスプレーヤーを「押す」
イリーガルユースオブハンズ
ディフェンスプレーヤーが、オフェンスプレーヤーを「叩く」「触れ続ける」「繰り返し触れる」
チャージング
オフェンスプレーヤーが、が無理に進んでディフェンスプレーヤーに「突っ込む」「押しのける」
漫画「スラムダンク」でのチャージング
神奈川県予選準々決勝での「湘北VS翔陽」
後半に桜木が翔陽のセンター花形に向かってダンクシュートを決めましたが、「チャージング」を宣告されて5ファウルで退場となってしまいました。
もちろんダンクシュートはノーカウントです。
このファウルは、桜木が無理矢理突っ込んだ結果オフェンスファウルになったという単純なものではありません。
花形のポジションが少しでも横にずれていたり、体の向きが斜めを向いていたらディフェンスのファウル(ブロッキング)になっています。
また、ダンクにくる選手を正面で待ち構えるというのは相当に勇気がいることです。
桜木が突っ込んでくると予想して、正面で待ち構えていた花形の勇気とディフェンス力によるものと言っていいでしょう。
罰則
ファウルしたプレーヤーとチームに1個のファウルを記録する。
処置
スローイン
ファウルされたチームにボールの所有権が与えられる。
(ファウルをされた場所に最も近いサイドラインかエンドラインの外からスローインで再開)
フリースロー
シュート動作中にファウルされた場合は、フリースローが与えられる。
- シュートが成功した場合は、1本のフリースローが与えられる。
- シュートが失敗した場合は、2本のフリースローが与えられる。
- スリーポイントシュートが成功した場合は、1本のフリースローが与えられる。
- スリーポイントシュートが失敗した場合は、3本のフリースローが与えられる。
フリースローのルールに関する記事はこちら
アンスポーツマンライクファウル
言葉通り「スポーツマンらしくないファウル」ということです。
通称「アンスポ」と呼ばれています。
1試合で2回宣告されると退場になってしまうので、サッカーでいう「イエローカード」と同等のものになります。
アンスポーツマンライクファウルも体の触れ合いによるファウルですが、以下のシチュエーションで起こった時に適用されます。
- 正当なバスケットボールのプレーと認められない、かつ、ボールに対するプレーでないと審判が判断
- ボールに対するプレーであっても過度に激しい触れ合いと審判が判断したプレー
- 必要のない触れ合いと審判が判断したプレー
- 相手チームの速攻時、プレーヤーと向かっているバスケット(リング)の間に他のプレーヤーが全くいない状況で、速攻を止めようとして後ろや横から起こした触れ合いと審判が判断したプレー
- 第4クォーターかオーバータイムの残り2分の間でスローインをする時に、コート上のディフェンスプレーヤーが相手に起こした触れ合いと審判が判断したプレー
罰則
- ファウルをしたプレーヤーに1個のアンスポーツマンライクファウルを記録する
- アンスポーツマンライクファウルを1試合で2回すると退場
- アンスポーツマンライクファウルとテクニカルファウルが1回ずつ、計2回になると退場
- チームファウルにもカウントする
処置
ファウルされたプレーヤーにフリースロー2本が与えられる。
漫画「スラムダンク」でのアンスポーツマンライクファウル(インテンショナルファウル)
全国大会2回戦「湘北VS山王工業」
三井がスティールしてこぼれたボールに宮城が反応、ワンマン速攻に持ち込めるところで深津が後ろからファウルをして宮城を止めました。
このプレーに対して、山王の深津が「インテンショナルファウル」を宣告されました。
現在の基準で言えば「相手チームの速攻時、プレーヤーと向かっているバスケット(リング)の間に他のプレーヤーが全くいない状況で、速攻を止めようとして後ろや横から起こした触れ合いと審判が判断したプレー」が適用されたことになりますね。
宮城がフリースローを2本打った後、湘北ボールでゲームが再開されました。
その次のプレーで赤木がゴリラダンクを決めたため、一気に4点を詰めたことになります。
試合の流れを大きく変えた印象的なシーンですね。
テクニカルファウル
では次に「②スポーツマンらしくない行為」について見ていきましょう。
スポーツマンらしくない言動・振る舞いに対するファウルのことをテクニカルファウルといいます。
テクニカルファウルも大きく2つに分類することができます。
1.ゲームを尊重する精神に反する振る舞い
ベンチおよびプレーヤーが審判、テーブルオフィシャルズ、相⼿チーム、⾃チーム、観客に対して相⼿を尊重しない態度で接すること
2022バスケットボール競技規則より抜粋
で定義の中で主なものを以下に抜粋します。
- 審判からの警告を無視する。
- 審判、コミッショナー、テーブルオフィシャルズ、相手チーム、あるいはベンチに座ることを許可された者への敬意を欠く振る舞い、異論表現。
- 観客に対して無作法にふるまったり挑発したりする、あるいは扇動するような言動をとる
- 相手チームのプレーヤーを挑発したり侮辱したりする。
- 相手チームのプレーヤーの目の前で手を振ったり、手をかざしたりして視野を妨げる。
- 肘を激しく振り回す。
- バスケットを通過したボールに故意に触れる、またはボールが素早くスローインされるのを妨げて遅らせる。
- フェイク(ファウルをされたと欺くこと)
2.ゲームの進⾏を遅らせる⾏為(ディレイオブゲーム)
2つめは
重要なポイントは、
- 基本的には相手プレーヤーとは体の触れ合いがないファウルであるということ
- 審判やオフィシャル、相手チーム、観客などに対して、相手を尊重しない態度で接すること
- ゲームの進行を遅らせる行為
の3つです。
罰則
テクニカルファウルもアンスポーツマンライクファウルと同じく、1試合で試合で2回宣告されると退場になるので、サッカーでいうイエローカードになりますね。
プレーヤーがテクニカルファウルを宣告された場合
- プレーヤーに1個のテクニカルファウルを記録
- チームファウルにカウントされる
- テクニカルファウルを1試合で2回すると退場
- アンスポーツマンライクファウルとテクニカルファウルが1回ずつ、計2回になると退場
コーチやコーチ以外のベンチにいる人がファウルを宣告された場合
- コーチに1個のテクニカルファウルを記録
- チームファウルにカウントされない
- テクニカルファウルが2個になると退場
処置
相手チームに1本のフリースローが与えられる。
漫画「スラムダンク」でのテクニカルファウル
神奈川県予選、決勝リーグでの「海南VS陵南」
陵南のキャプテン魚住が、自分のプレーにファウルを吹かれたことに納得がいかず、審判に抗議をしてテクニカルファウルを宣告されました。
「審判に敬意を欠く振る舞いをした」というテクニカルファウルの代表的なものですね。
また、その際フリースローを打ったのは海南の牧でした。
ファウルには何の関わりもない牧ですが、テクニカルファウルはコート上にいるプレーヤーなら誰でも打つことができるからです。
ディスクォリファイングファウル
特に悪質でスポーツマンシップに反する行為をディスクォリファイングファウルといいます。
一発で退場なので、サッカーでいう「レッドカード」と同じ扱いですね。
罰則
1発で退場となります。
ゲームが終わるまで、コート上はもちろんベンチに座ることもできません。
更衣室内にいるか建物外に出る必要があります。
- プレーヤーがファウルをした場合はチームファウルにカウントされます。
- コーチやそれ以外のベンチにいる人がファウルをした場合は、チームファウルにカウントされません。
処置
2本のフリースローの後、センターラインの延長線上からのスローインが与えられます。
漫画「スラムダンク」でのディスクォリファイングファウル
神奈川県予選1回戦の「湘北VS三浦台」
桜木が三浦台の選手の頭にダンクシュートをかましてファウルを宣告されました。
その際に湘北のキャプテン赤木が審判に「ディスクォリファイングファウル?」と質問していました。
審判はパーソナルファウルと判定しましたが、味方プレーヤーから見ても「特に悪質なファウル」と認定されても仕方がないようなプレーだったんでしょうね(笑)
ダブルファウル
両チームの2人のプレーヤーがほぼ同時にお互いにパーソナルファウルやアンスポーツマンライクファウル、ディスクォリファイングファフルをした場合に成立します。
罰則
両方のプレーヤーにそれぞれ宣告されたファウルがカウントされます。
処置
- シュート中のファウルであってもフリースローは与えられません。シュートが決まった場合は、得点されたチームがエンドラインの外からスローインで再開されます。
- Aチームがボールを保持していた時に起こった場合は、Aチームのスローインで再開します。
- 両チームともボールを保持していない時に起こった場合は、ジャンプボールシチュエーションとなります。
※②③の場合は、ファウルが起こった場所から最も近いサイドラインかエンドラインの外からスローインです。
一般のバスケとミニバスでのファウルの違い
一般のバスケとミニバスでのファウルの違いは、ほとんどありません。
唯一違うのは、「アンスポーツマンライク」を宣告された後の再開方法です。
一般のルールではフロントコートから再開となるため、24秒クロックは「14秒」からのスタートとなります。
しかし、ミニバスでは14秒リセットが適用されるのは「オフェンスリバウンド」の時だけです。
従って、センターラインの延長線上からのスローインで24秒クロックは「24秒」からのスタートとなります。
まとめ
今回の記事では、
- ファウルの種類やそれぞれにおける罰則や処置
- ミニバスとの違い
について解説しました。
少しでもイメージしやすくするため、漫画「スラムダンク」のシーンも例に挙げています。
この記事が少しでもバスケットボールを知ることに繋がれば幸いです。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!