NBAと国際大会(ワールドカップやオリンピック)ではルールが違う!
2023年にフィリピン、インドネシア、日本の共同でワールドカップが開催されます。
渡邊雄太や八村塁をはじめとしたNBAプレーヤーがどれだけ他を圧倒するのか、楽しみにしている人は多いと思います。
しかし国際大会では、NBAプレーヤーが圧倒的な力を発揮するかと思いきや、一筋縄ではいかない難しい理由があります。
それは何かというと、NBAと国際大会(オリンピックやワールドカップ)ではルールが異なることです。
細かい点を挙げるとキリがないため、影響が大きそうな点をいくつかピックアップして解説していきたいと思います。
なぜルールが違うの?
基本的にオリンピックやワールドカップなどの国際大会はFIBA(国際バスケットボール連盟)の定めたルールに則って運営されています。
しかし、NBAはそうではありません。
独自のルールで運営されています。
何故かというと、NBAは「魅せること」すなわち「エンターテイメント性」に重きを置いているからです。
Bリーグやインターハイ、ウィンターカップは?
日本のトッププロリーグであるBリーグをはじめ、大学生のインカレ、高校生のインターハイやウィンターカップ等も「FIBA」のルールに則っています。
ですので、基本的にはオリンピックやワールドカップ等の国際大会とルールは同じです。
日本国内でプレーしている限り、ルールの違いで困ることは無さそうです。
それでは、NBAとFIBAのルールの違いについて解説していきましょう。
試合時間
NBAとFIBAルールでは、試合時間が8分も違います。
NBAで何度も優勝を果たしているサンアントニオ・スパーズのヘッドコーチでもあるポポビッチ氏が、アメリカ代表前監督時代に「NBAと国際試合では1クォーターの重みが違う」というようなニュアンスのことを語っていました。
確かに第1クォーターの出来が悪かったとしても、残り時間が36分と30分では大きな違いですよね。
NBA
NBAは12分×4クォーター制です。
1試合が48分ということになります。
FIBA
FIBAは10分×4クォーター制です。
1試合が40分ということになります。
スリーポイントシュートの距離
スリーポイントシュートのラインは、何と最大で0.49メートルもの差があります。
NBAプレーヤーにとっては、短くなった分難易度は下がるんでしょうか?
それとも感覚が変わってしまうから難しく感じるものなんでしょうか?
NBA
トップ:7.24メートル
コーナー:6.71メートル
FIBA
トップ:6.75メートル
コーナー:6.60メートル
タイムアウトの回数と時間と取り方
NBA
NBAでは、試合を通して75秒のタイムアウトを計7回取ることができます。
また、ヘッドコーチだけでなく、プレーヤーもタイムアウトを要請することが可能です。
FIBA
FIBAでは、60秒のタイムアウトを前半2回、後半3回の計5回取ることができます。
タイムアウトを要請する権利があるのは、ヘッドコーチのみとなっています。
退場になる個人ファウルの数
NBA
NBAでは個人ファウル(パーソナルファウル)を6回宣告されると退場となります。
FIBA
FIBAでは個人ファウル(パーソナルファウル)を5回宣告されると退場となります。
公式ボール
NBAとFIBAではボールのメーカーが違います。
ボールが違うと、ドリブル、パス、シュート、あらゆるプレーに大きな影響を及ぼします。
渡邊雄太選手は東京オリンピックの時、バスの中でもボールに触って手に馴染ませようとしていました。
もしかしたら、この「ボールの違い」がプレーヤーにとっては最も影響が大きいのかもしれませんね。
ボールのメーカーについての詳細は以下の記事をご覧ください。
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NBA
NBAでは、Wilsonのボールが公式球として採用されています。
素材は天然皮革で、8枚パネル構成です。
ボールのサイズが小さく6.5号と呼ばれたりすることもありますが、発表されている限りそのようなことは無さそうです。
ボールのサイズについての詳細は以下の記事をご覧ください。
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FIBA
FIBAでは、moltenのボールが公式球として採用されています。
素材は天然皮革で、12面体です。
どちらも素材は天然皮革ですね。
ボールの素材についての詳細は以下の記事をご覧ください。
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フリースローの制限時間
フリースローの時、シューターが審判からボールを受け取ってシュートするまでの時間がNBAとFIBAでは大きく異なります。
最近ではミルウォーキー・バックスのヤニス・アテトクンポ選手のシュート前のルーティーンが余りにも長く10秒を超えてるんじゃないかと話題になりましたね。
フリースロー時のルーティーンが長くて有名なヤニスのフリースロー動画はこちら
NBA
シューターはボールを受け取って10秒以内にシュートしなければいけません。
FIBA
シューターはボールを受け取って5秒以内にシュートしなければいけません。
ディフェンス3秒ルール
オフェンス3秒ルールというのはFIBAのルールにもありますが、ディフェンス3秒ルールというのは、NBA独自のルールです。
ディフェンスは、自分のマークマンから離れた状態で3秒以上ペイントエリア内に居続けてはいけません。
なぜNBAにだけ、そんなルールがあるのでしょうか。
答えは簡単です。
最初に申し上げた通り、NBAはエンターテイメント性を重視しているからです。
ペイントエリア内にビッグマンが待ち構えていると、ゴール下のスペースがなくなってしまい、ドライブインからダンクシュートなどの華麗なプレーがしにくくなってしまいます。
ディフェンス3秒ルールは、まさに観客を魅了するために作られたルールと言えるでしょう。
NBAはオフェンスに有利?
NBAはエンターテイメント性を重視しているため、全体的にオフェンスが有利になるようなルールであると言われています。
ディフェンス3秒ルールはまさにその一つですが、他にも色々とあります。
ディフェンスのハンドチェッキング(手でオフェンスに触れる)に厳しかったり、試合に大きな影響のない場面ではトラベリングが吹かれないなども代表的なFIBAとの違いです。
この辺りもNBAプレーヤーが国際大会で苦労する要因になっています。
さいごに
NBAとFIBAのルールの違いについて、ざっくりと解説しました。
この辺りを知った上で国際大会を観戦すると、NBAプレーヤーが苦労する点、同じNBAプレーヤーでも適応が速いプレーヤーと遅いプレーヤーがいるなど、様々な見方ができてより楽しめると思います。
2022年のアジアカップ、2023年のワールドカップ、2024年のオリンピックと楽しみな国際大会が続きます。
この記事を読んだ方が少しでもバスケットボールを楽しむことに繋がれば幸いです。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!